にゃんちゃんの夏休み

恥部をさらしています。

八月二十日

遂に、オープンESが完成した。『うれしくって抱きあうよ』である。何を隠そう、私は一年以上、エントリーシートを書けない病(甘え)に苦しんでいた(-ed)人間だ。永久に書けないんじゃないかと思っていたので、肩の荷が下りて人生を楽しめそうな気配がしている。ありがたい。

何かを書くとき大体、なぜか喫茶店や図書館よりも電車内の方が筆が乗る。
なので今日は18きっぷで横浜から国府津まで鈍行列車に乗ってエントリーシートの内容を練った。国府津で降りたのは他でもない。殺風景な海岸に行くためだ。やらなきゃいけないことがあるときや毎日が虚しくなった時、海が見たくなる。
特に景色が綺麗なわけでもなく、昼間から酒を飲んでる人か釣りをしている人しかいなかったので心が落ち着いた。海を眺めながら紙に自己PRを書いていたので、周囲の人は作詞中のバンドマンか秋山澪だと思ったかもしれない。 否、誰もお前のことなんか気にしていない。
駅前の中華料理屋で塩バターチャーシュー麵を食べて煙草を吸った。店から出た刹那五時のチャイムが鳴ったので百点だと思った。その後横浜の喫茶店でオープンESが完成した。心が晴れた。マトモな人間に向けて、私にとっては偉大な一歩だと思った。

読者諸賢(いない)には「なんだ、結局喫茶店で完成させているじゃないか」と思われた方が在るかもしれない。しかしご理解いただきたい。実際のところ、電車内と海岸で考えた文章を既定の文字数に縮める作業をしただけである。
最初から喫茶店に行ったところで書く内容は全く思い浮かばないので、「運賃がもったいないし喫茶店でいいか」などとはゆめゆめ思ってはならぬ。

私のような筆不精で怠惰な人間に限っては、資金や時間、労力を惜しめば必ずや劣等感と絶望で部屋の中を転げまわる末路を迎えることになると肝に銘じておかなければならない。